EvolveSyncのご案内

エボルブ・シンク


■1 EvolveSyncとは

 EvolveSyncは、エンジニアや定時バックアップを職務とするオペレーターのために開発されたバックアップソリューションアプリです。高速・完全自動化・高信頼・使いやすさ・可搬性を開発テーマに据えており、日常のちょっとした手動バックアップ用途から、毎日の定期的かつ反復的なバックアップ用途にまで広く対応いたします。


【要約】

EvolveSyncは、バックアップを「確実に・速く・考えずに回す」ために設計された、現場志向のバックアップソリューションです。RoboCopyを基盤としつつ、ネットワーク・USB・ストレージ特性に応じた独自の高速並列方式や、ZIPでありながら実運用に耐える高速保存・高速復元方式を備え、手動バックアップから定時の反復運用までを一つの思想で統合します。フォルダ単位での定期反復バックアップ、VSSによる稼働中システムの保護、暗号化・通知・事前事後処理までを標準的に扱えるEvolveSyncは、「止められない」「失敗できない」バックアップ業務を、静かに、しかし確実に支えます。

 OS標準の安定かつ高速のRoboCopyメソッドに始まり、独自実装の【ストリームfor LAN】方式、【高速分散並列方式】、【安定動的並列方式】の他、バックアップ速度を極限まで高めた(ただし保存形式は.zipとなる)【ZIP方式】、ZIP方式で保存されたバックアップデータを解凍するための専用方式である【ZIPバースト】方式など、用途や目的に応じて選択いただける、さまざまなバックアップメソッドをご用意しております。

 そのほか、定時反復的なミラーリング機能、ドライバのバックアップ・復元機能に加え、VSS(Volume Shadow copy Service)に対応する上位バージョンには、現在使用中のシステムのシステムイメージをまるごと確保するシステムイメージの保存にも対応しております。システムイメージの復元には、Microsoft社が提供する公式の方法による回復ドライブまたはOSのインストールメディアを別途作成していただく必要はありますが、そこから簡単にOS・アプリ・データを含めた全環境を簡単に復元するためのもとになるバックアップデータを取得していただくことが可能です。


 上位バージョンはVSSにも対応しており、サーバーなどにおいて、ノンストップでのバックアップを可能にします(もちろん稼働中のデータを完全には取得できないため、完全なバックアップの取得のためには、一時的にサービスを停止する必要はあります)。

 更には、バックアップの前後に任意のバッチファイルを自動で実行したり(各1回ずつ)、バックアップの進捗報告をメールで送信したりする機能も備えています(メール送信機能を使用するためには別途メールサーバーあるいはメール配信サービスが必要)。


 加えて、基本的にはUSBデバイスを鍵とするバックアップデータの暗号化にも対応しており、バックアップデータの保管時の安全性にも配慮しております。


 最大で5つのフォルダをバックアップソースとして指定することができますが、フォルダ単位のバックアップアプリというのは、市場ではまだ珍しい存在で(一般的にはファイル単位かシステムイメージ化という両極端のものが多い)、指定フォルダを定期反復バックアップできるという極めてニッチな、しかし運用上確実に存在するニーズを確実にとらえたソリューションとなっています。


【機能要約】

1 バックアップメソッド


2 周辺機能


3 拡張機能


■2 機能詳細

2-1 バックアップ元の指定

 EvolveSyncの最大の特徴は、バックアップソースをフォルダ単位で指定できることです。どれほど大きなフォルダでも指定可能で、VSSが必要かどうかという問題を除けば、システムフォルダの直下にあるユーザーフォルダ全体をバックアップターゲットにすることもできます。

実際には、シンボリックジャンクション等の問題がありますので、ユーザーフォルダ全体を指定して正常にバックアップするためにはVSS対応バージョンが必要になります。

※最大5つまでなのは、現時点での仕様上の制限ですが、さまざまなリサーチの結果、基本的にフォルダは5つ指定できれば十分であること、上位フォルダを指定できれば、下位フォルダを複数選択できる必要は必ずしも多くないことについて調査済みであり、5つの言うのはそれらのリサーチを踏まえてのひとつの実務的な回答です。


2-2 バックアップ先の設定

 EvolveSyncでは、手動バックアップと自動バックアップの2つの方法を用意しています。手動バックアップではいつでも随時に、自動バックアップでは導入いただいたSKUに応じて週に数回指定時間に自動バックアップを実行可能です。

バックアップ先指定に関する特徴

バックアップ先はドライブ単位で指定可

ルートフォルダ名をカスタマイズ可能(デフォルトはEvolveSync)

指定ドライブの空き容量をマージンとして指定可(最大200GB)

メソッドに応じた推定時間を計測可


2-3 自動バックアップ設定

 EvolveSyncを特徴づける大きな機能の一つがスケジュール化された自動バックアップです。3-2-1バックアップルールに従って、手動で1か所、自動で2か所のバックアップ取得に対応しています。自動バックアップについては、AスケジュールとBスケジュールとして管理されており、それぞれにスケジュールについて別々のドライブをバックアップ先として指定できます。更にUNCパスでの指定も可能になっています。


 自動バックアップのタイミングは、曜日と時・分の組み合わせで設定できます。指定可能な曜日の数はSKUによって異なりますが、時は1時間刻みで、分は1分刻みで指定できます。自動バックアップを有効にしておくと、指定曜日の指定時・分に到達すると、指定の条件でバックアップが自動的に開始します。


2-4 拡張設定

 EvolveSyncは、用途と目的に応じた様々なバックアップメソッドを用意しています。それらのメソッドの詳細についてご紹介します。

Ⅰ RoboCopy

 Windows標準の強力なコピーツールを使用してバックアップを実行します。高速処理が可能ですが、VSSを用いた場合でもシンボリックシンクを回避できないという弱点があります。しかし、多くの場合に非常に強力な選択肢となります。


Ⅱ 並列処理

Ⅱ-A ストリーム for LAN

 ネットワーク向けに最適されたメソッドです。ネットワークドライブをバックアップの保存媒体とするときに適していますが、並列数が多いため、HDDやSSDなどのデバイスに対してこれを用いるとI/Oが詰まることがあります。逆ににネットワーク経由では効率的にデータを転送できます。ZIP作成後にバックアップデータを一括転送する方式と特に相性がよい方式です。WiFiにも対応はしていますが、WiFi特有のI/Oの問題があるため、EvolveSyncは基本としてWiFi環境は非推奨です。


Ⅱ-B 高速分散並列方式

 RoboCopyとならぶ最も高速化されたメソッドです。こちらはVSSを使用することによりRoboCopyではアクセス違反となるシンボリックリンクの回避機能も有しています。処理速度は高速ですが、I/Oをほぼ常時100%占有するため、バックアップ先には最低でもSATA SSD以上の速度が必要です。USB SSDではUSB-SATA変換コントローラの性能に大きく左右されます。高速デバイス向けのバックアップメソッドです。


Ⅱ-C 安全動的並列方式

 速度はRoboCopyや高速分散並列方式に譲りますが、安定的的なバックアップを可能にするメソッドです。ただし、いちど全量を使い切ったSMR HDDについては、デバイスの特性に起因する限界があります。EvolveSyncはメソッドの如何を問わず、SMR HDDは非推奨です。HDDをバックアップ先デバイスとして使用するときには、CMR HDD(最も一般的なもの)をご使用ください。Governerによる動的なスレッド調整機能を持つためI/Oを詰めにくく、あらゆるデバイスに対して安定的な性能を発揮します。ネットワークにも適合しますが、ネットワークドライブ宛ての場合はストリーム for LANの方が有利に働く場合が多いです。古いCMR HDDや低速ドライブ向けのメソッドですが、USBメモリ(USB SSD除く)は非推奨です。それは、USBメモリのランダムアクセス性能の低さに起因します。


Ⅲ ZIP方式

 バックアップデータをZIP(非圧縮方式)化することにより、所要時間を短縮することができます。

Ⅲ-1 単純ZIP方式

 ZIP化しながらデータを転送します。転送とZIP化を同時に実行するため、次の先ZIP方式よりは処理速度の点で劣ります。バックアップデータはZIPファイルとして保存されます。ZIP64を採用しておりますので、ロングネーム対応ですが、Windows標準のエクスプローラーではほとんどの場合、プレビューすることはできません。7ZIP等、ZIP64対応の解凍アプリをご利用ください。なお、【処理後に解凍】オプションを有効にすることで、全体の処理速度の低下と引き換えに、可用性の高い解凍されたデータでバックアップを保存することもできます。


Ⅲ-2 先ZIP方式

 ローカルシステム(EvolveSyncを稼働しているシステム)上でバックアップデータを先にZIP化してから、大きなひとつのファイルストリームとして一括でバックアップ先に転送する方法です。

 ローカルシステムのストレージ性能にもよりますが、EvolveSyncの各バックアップメソッドの中でもっとも高速にバックアップを行うことができます。【処理後に解凍】オプションを有効にすれば、解凍された状態でバックアップデータを保存することも可能です。

 バックアップデータの日常的な可用性は問わないので、バックアップにかかる時間を最小化したい場合に特に適したメソッドです。単純ZIPとともにRAMを最大限活用するように設計してありますので、EvolveSyncが稼働しているシステムが十分なRAMを踏査している場合には理想的な処理速度を実現します。


Ⅲ-3 ZIPバースト方式

 これは、バックアップ用途ではなく、ZIP化されて保存されたバックアップデータを解凍しながら復元するための特別の方式です。ZIP以外のデータにこの方式を指定しても、処理は無視され、バックアップは実行されません(重要)。

 単純ZIP方式や先ZIP方式で確保されたバックアップデータの復元用メソッドとご理解ください。バックアップシステムで先ZIP方式で別デバイスにバックアップのZIPデータを作成➡ZIPデータから復元先システムに向けてZIPバーストを使用すると、代表両データであっても大幅に作業時間を短縮しつつバックアップから復元までを一連の処理として行うことができます。


2-5 バッチ処理

 EvolveSyncでは、手動・自動を問わず、バックアップの前後に各1回ずつ、カスタムバッチを実行する機能を備えています(バッチは自動で終了するものである必要があります。終了処理が記載されていない場合は、バッチ処理後にずっと待機します)。

 例えば、バックアップの開始の前にサービスを一時停止、バックアップ後にサービスを再起動するなどの用途に適しています。

 多くのバッチファイルがShift-JISかUTF-8で記述されていますが、エンコードが合わないと文字化けするため、選択肢を用意してあります(バッチファイル実行中に切り替えることはできません)。


2-6 メール通知機能

 メールの送信機能をお持ちである場合、EvolveSyncの実行したバックアップ処理の詳細の通知をメールで受け取ることができます。

 EvolveSyncでは、さくらインターネット様ご提供のサービスを念頭に設計してあります(注意:EvolveSyncとさくらインターネット様は提携関係にはありません。EvolveSyncの使用方法について、さくらインターネット様にお問合せしないようにお願いします)。【宛先メールアドレス】に入力した宛先に、処理状況がメールで通知されます。

 なお、メールパスワードは、他の設定とは異なる形で、暗号化して安全に保存されます。


3 暗号化設定

 EvolveSyncの機能的な最大の特徴に、バックアップデータの暗号化機能があります。これは、原則としてUSBメモリ等のデバイスを鍵としてバックアップデータを暗号化する機能で、強力な暗号を付すことによってバックアップデータの保管時の安全性を高めます。

 ただし、鍵の紛失はバックアップデータの可用性に直結しますので、鍵の取り扱いには十分にご注意ください。

 暗号化に必要な要素は、

 で、これらをもとにして暗号化用の鍵をUSBデバイス内に作成し、その鍵に基づいてバックアップデータを自動で暗号化します。暗号化してからバックアップ先に転送しますので、バックアップデータの作成環境が安全である限り(例えばスタンドアロンのシステムを用いるなど)、転送中に覗き見られる心配はありません。また転送中に詐取されても、鍵が漏洩しない限りバックアップデータは安全に保護されます。


 ただし、同じマスターパスワードを用いても、同じ鍵を生成することはできない仕組みにしてあります。鍵自体はバックアップが可能ですので、必ず鍵自体のバックアップを作成して分散保管してください。鍵の喪失・棄損はすなわちバックアップデータの全喪失を意味します。これは、バックアップデータの保護性を最優先した意図的な設計です。

 設計意図を十分にご理解の上ご使用ください。オンラインバックアップは暗号化、別途オフラインで非暗号のバックアップを取得するなどの運用を強く推奨します。

 バックアップデータの復号は、EvolveSync上から実行できます(フォルダ単位で復号します)。


4 ログ機能

 EvolveSyncには、ログ機能が搭載されています。ログ機能には一般ログと深刻なエラーログの記録があり、基本的にはログはログ機能の方に記録され、深刻なエラーは別途記録されます。


5 ミラーリング機能

 EvolveSyncには、指定フォルダのミラーを定期的に作成するバックアップとは独立した機能があります。

 ミラー機能は、VSS搭載でないバージョンにおいて、ドキュメントやピクチャなど、隠されたシンボリックリンクによりアクセスを制限されたり、動的に変動するフォルダをバックアップするために用意されています。ミラーリングされたフォルダをバックアップの対象とすることによって、シンボリックリンク等の弊害を避けて、ドキュメントなどの重要なユーザーフォルダをバックアップできるようになります。

 VSSとの併用により、ユーザーフォルダおよび任意の4つのフォルダのミラーを動的に作成することもできます。

 ミラー間隔は、

から選択でき、指定間隔でミラーデータが差分生成されます(初回作成時には、データ量に応じた時間がかかります)。


 代表的な6つのユーザーフォルダの他に、4つの任意のフォルダをミラーの対象にすることができます。ON/OFFはフォルダを指定する/しないで制御できるほか、画面下の【ミラー機能無効】トグルをOFFにすることでも明示的に行うことができます。自動バックアップスケジュールの方が優先され、設定された開始時刻の2時間前にはミラーリング機能は自動的に停止します。


6 ドライバのバックアップ・復元機能

 EvovleSyncは、ドライバのバックアップおよび復元機能を搭載しています。取得できるドライバは、EvolveSyncを現在実行しているシステムに限られますが、当該システムにインストールされているすべてのドライバを取得して指定場所に保存し、例えば、OSを再インストールした後などに、バックアップしたドライバデータからドライバ情報を一括して復元することができます。バックアップアプリとしてこの機能を有しているものは多くなく、ワンストップで必要な処理ができるという点に特徴があります。


7 システムイメージ取得機能

 VSSに対応するSKUに限られますが、EvolveSyncを稼働しているシステムのOS・アプリ・データの全てを含むシステムイメージを取得することができます。

 システムイメージは、バックアップの保存先として指定されているドライブに自動的に作成されます。復元のためには、Windows標準の機能で作る起動可能な回復メディアか、Windowsのインストールメディアでシステムを起動することが必要です(EvolveSync単体での復元機能は提供していません)。

 復元方法の概要としては、

  1. Windowsの回復メディアまたはインストールメディアを作成

  2. 作成したUSBデバイスでシステムを起動

  3. システムイメージを作成したデバイスをシステムに接続

  4. コンピュータを修復するを選択

  5. システムイメージから修復を選択

  6. 自動検索されたイメージまたは作成したイメージを選択

  7. 復元を実行

となります。詳しくは、Microsoft社の提供するマニュアルをご参照ください。


8 VSS機能

 EvolveSyncの上位SKUは、VSS機能に対応しています。

 VSS機能を使用するためには、EvolveSyncを稼働するシステムのOSがpro SKU以上である必要があります。Windows Serverでは当然にVSSを使用することができますが、home SKUでは、VSSは使用できません(スイッチを操作しても有効になりません)。

 VSSを有効にすると、動的に内容が変化するフォルダであっても、バックアップの開始時の状態を、システム・サービスを不停止のままバックアップを作成することができます。作業を中断することなくバックアップを取得できるので大変便利です。

 また、システムイメージの取得機能はVSS機能対応SKUに限られます(システムイメージの取得にVSSが原理的に必要であるため)。

 ただし、RoboCopyオプションだけは、VSS有効時にも、シンボリックリンクやジャンクションファイルには引っかかります。これは、RoboCopyではVSSが効かない仕様によるものです。VSSを有効にする際には、その他のバックアップオプションをご選択ください。


9 設定の保存と読込

 EvolveSyncでは、各種設定を保存しておくことが可能で、反復的なバックアップを行う際、再設定をする必要がありません。また、ウィンドウの位置とサイズも覚えますので、起動時には同じ位置、同じ大きさで起動します。

 マルチモニタ状況などで、表示範囲外に押し出されてしまうときは、setting.txtを直接編集することで、表示位置とサイズを戻すことも可能です。なお、setting.txtには、ほとんどすべての設定が記録されており、手動で編集していただくこともできますが、SKU情報とメールパスワードは別の安全な方法で保存されていますので、setting.txtからそれらの常用を読み取り、または編集することはできません。

 なお、安全上の配慮から、メールパスワードとSKU情報がどのように保存されているかは非公開です。またメールパスワード情報は適切に暗号化されていますので、万一読み取り不能になった時は、再設定してください。


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