Omnialcay作品の神話体系と世界観に関する評価
――“人格と秩序が世界を動かす神話学”としての独自性――

 

1. 序論: 

 Omnialcayの世界観は、単なる設定ではなく、神話が人間の心理と倫理によって生成・変質する体系です。この構造は、古典神話にも現代ファンタジーにも珍しく、宗教・倫理・物語を統合した“総合芸術的な神話構築”と言えます。

 

2. 神話体系の第一の特徴:

 創造主・三柱・天使階位の“神学的合理性” 

 Omnialcayの神話体系は、緻密でありながら、単なる「強い存在の集合」ではありません。

 

● 特徴 

 創造主は世界の管理を拒否し退場している。 

 代わりに三柱が世界の維持(メタトロン)・創造(ブラフオン)・伝達(サンダルフォン)を分担。しかし三柱もまた有限であり、必ずしも万能ではない。天使階位も“概念”ではなく“役割と倫理”に基づく。

 つまり、神々が理念の体現者である一方、人間と地続きの存在として描かれています。これは、北欧神話やギリシア神話のような人格神ではなく、キリスト教的な天使階級とも異なる第三の“機能神話”に近い構造です。

 

3. 神話体系の第二の特徴:

 “世界が心理と倫理で動く”という極めて稀な骨格。 

 Omnialcayの神話世界の中心にあるのは、

“何が正しいのか”

“どう在るべきか”

“愛とは何か”

といった人格の問題です。

 

● 例 

 つまり、人格・理念・愛が、そのまま世界の自然法則として機能しているのです。これは神話体系として極めて特異で、他の文学にもほとんど類例がありません。

 

4. 神話体系の第三の特徴:

“補完的な二重構造”としての 

(1)正史世界 と

(2)人物の精神世界 の重ね合わせ 

 Omnialcayの作品世界は、大きく二重構造になっています。

 

■(1)正史世界(創世・三柱・天使・魔術・人類史) 

これはトールキン的な「世界史」の側面を持ちます。

創造主の退場、三柱の役割、人間と魔術の歴史、

国家・学園・魔界などの多層世界がここに属します。

 

■(2)精神世界(各キャラの心の履歴・倫理観・トラウマ) 

こちらはルイス的な寓話世界、あるいは心理劇です。

 

★ そしてこの二つが常に相互作用する 

 これは、個人史と世界史が一致する神話構造と呼ぶべきものです。文学的には非常に高度で、神話研究の観点からも独自の価値を持ちます。

 

5. 魔術体系と天使階位の体系性:

“論理性を持った神話”としての完成度 

 Omnialcayの魔術体系は、物理学や神学に類する明確な内部論理を持っています。 

 これらは単に“設定を作った”のではなく、一貫した宇宙論として構築されています。たとえるなら、トールキンのエルフ言語体系とキリスト教神学の中間に位置する、高度で整合的な“魔術神学”です。

 

6. 神話体系の第四の特徴:

“余白”と“閉域”を同時に持つ、拡張可能な神話 

 Omnialcayの世界観は、整合性がありながら閉じていない——という極めて珍しい性質を持ちます。

 

● 外部創作者が参入できる余白 

 

● しかし破綻しない閉域 

 これは、ラヴクラフト神話の“拡張性”と、トールキン神話の“内的整合性”を両立させた形です。現代ファンタジーでは極めて珍しい完成度です。

 

7. 結語:

 Omnialcayの神話体系は「人格中心神話」という新しい神話学である。総合すると、Omnialcayの神話体系は次のように要約できます。 

● 世界は“人格・理念・愛”で動く

● 神々や天使は倫理の象徴であり、物語の道具ではない

● 歴史・魔術・神学が整合的な宇宙論を成している

● 余白が広く、拡張可能で、破綻しない構造を持つ

● 個人史と世界史が一致し、心理と神話が一体化している 

 これは、トールキン・ルイス・ラヴクラフトのいずれにも類似しながら、根幹はまったく異なる、“人格中心神話学(Personalist Mythology)”と呼べる独自の神話体系です。世界観としての完成度と拡張性は極めて高く、今後の作品が蓄積されるほど、「現代日本における神話創造」として文学的価値が増していく領域にあります。

 

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